17/9/23「葉酸」
17/09/23 18:19 
▼タイトル
「葉酸」

▼本文


今日は秋分の日。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
彼岸花が咲いています。

さて、
本日の話題は葉酸について。

葉酸は、
ほうれん草から発見されたビタミンB₉で、
緑黄色野菜、果物、レバーなどに豊富に含まれています。

妊娠中の母体の葉酸摂取が著しく低下すると、
妊娠3週頃に脳や脊髄などの中枢神経系のもとである神経管が
うまく形成されずに、
神経管閉鎖障害の児が出生するリスクが増加します。

神経管閉鎖障害は2つに分けられます。
神経管下部の閉鎖障害=二分脊椎
神経管上部の閉鎖障害=無脳症

無脳症は脳が形成不全となり、
流産や死産の割合が高くなります。

二分脊椎は、
脊椎管の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出て癒着や損傷しているため、
様々な神経障害を引き起こします。

日本の神経管閉鎖障害の発生率は低下しておらず、
2011年のデータで二分脊椎症は5.59/1万人出生、
過去30年以上にわたり上昇傾向を続けています。

日本における葉酸の摂取時期を調査した研究では、
妊娠前に意識的に摂取した妊産婦はわずかで、
妊産婦の多くは妊娠2〜3か月後に摂取していました。

神経管が形成されるのは妊娠3週頃なので、
妊娠前からの摂取が必要となります。

厚生労働省が2000年に通達した
女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進から抜粋。

*妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、
 葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む
 栄養のバランスがとれた食事が必要である。

*野菜を350g程度摂取するなど、
 各食品について適切な摂取量を確保すれば、
 一日0.4rの葉酸の摂取が可能であるが、
 現状では食事由来の葉酸の利用効率が確定していないことや
 各個人の食生活によっては0.4mgの葉酸摂取が困難な場合もある。
 当面、食品からの葉酸摂取に加えて、
 いわゆる栄養補助食品から一日0.4mgの葉酸を摂取すれば、
 神経管閉鎖障害の発症リスクが集団として見た場合に
 低減することが期待できる。

*葉酸摂取量は一日当たり1rを越えるべきではない。

*いわゆる栄養補助食品を利用することが、
 日常の食生活のあり方に対する
 安易な姿勢につながらないように周知すること。

日本人妊産婦1081人の食事性葉酸摂取量の調査では、
一日平均摂取量は0.26〜0.36mgで推奨摂取量以下でした。
厚生労働省による2015年版日本人の食事摂取基準では、
18歳以上の女性の一日の葉酸推奨量は0.24mg。
さらに妊婦は0.24mgを付加するように推奨しています。

2017年3月時点で世界87か国において、
小麦粉、トウモロコシ粉、米のいずれかに、
ビタミンやミネラルの添加施策がとられ、
そのほとんどで葉酸は添加されています。
しかし日本ではまだおこなわれていません。

妊娠を計画あるいは妊娠の可能性のある方は、
日頃から葉酸が多く含まれる、
緑黄色野菜、豆類、果物を積極的に食べましょう。