17/1/21「サイトメガロウイルス」
17/01/21 18:34 
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「サイトメガロウイルス」

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1月20日は大寒でした。
一年で寒さが最も厳しい時期です。
熊本は雪の初日を観測しました。
これまでの平年値は12月23日なので、
約1か月遅かったことになります。

さて報道にもありますが、
1/9〜1/15の週に熊本県は
インフルエンザの定点数が12.05となり、
注意報レベル10を超えました(熊本市;11.04)。

当院では今週に入り、
徐々にインフルエンザの患者さんが来院されています。

昨季の熊本県は、
1/25〜1/31の週に注意報レベル、
その5週後の2/29〜3/6の週にピークに達しました。

全国の1/9〜1/15の週の定点数は15.25。
熊本県は12月までは全国の半分程度で推移していましたが、
1月に入りぐっと発生数が立ち上がってきました。
ここ数日は学年・学級閉鎖も続々と報告されています。
本格的なシーズン入りしましたので、
引き続き感染予防に努めましょう。

さて、
サイトメガロウイル(CMV)を御存知でしょうか。
このウイルスは日常の至る所、
世界中に存在するウイルスです。

多くの場合、
既に感染している母親から生まれたこどもは、
産道や母乳を介して感染します。
感染したこどもは、
数か月から数年にわたり尿や唾液にウイルスを排泄するので、
集団保育の場で感染したり、
家族に感染したりします。
また青年期以降、
性行為によって感染する場合もあります。

こどもも大人も健康であれば
感染してもほとんど無症状であり、
既感染の場合は抗体を持っているので、
母子感染は起こりにくくなります。

しかし、
妊娠中に母親が初めて感染した場合、
胎児に難聴・発達遅滞・てんかん・自閉症
などを引き起こすことがあります
(先天性CMV感染症)。
中には、
出生時に症状がなく成長後に発症する場合もあります。

かつて日本の妊婦の抗体保有率は90%近くありましたが、
生活環境が改善し、
現在では妊婦の約30%が未感染で、
そのうち1〜4%が妊娠中に初感染、
続いて胎内感染が起こる確率は30〜50%と推定されています。
(先天性CMV感染症は年間約1000人発症と推定されている)

未感染の妊婦が感染するケースとして多いのは、
第一子からの感染です。
第一子が集団保育等で感染し、
母親が第一子のオムツ交換や食事の世話等の際に尿や唾液に触れ、
感染が起こります。
実際日本では、
先天性CMV感染症は第二子以降に多いことが確認されています。

CMVにまだ感染していない妊婦さん
(特に保育士さんや上に小さなおこさんがいる方)は、
以下の事を心がけましょう。

@オムツ交換、こどもの食事、鼻汁・唾液の処理、
 おもちゃを触った後は、
 念入りに手洗いする。

A飲食物はこどもと別にし、
 同じ箸やスプーンも使用しない。

Bこどもとキスする時は唾液に気を付ける。

Cこどもの体液や尿がついたおもちゃや家具などは
 きれいに拭き取る。

D妊娠中の性行為の際にはコンドームを使用する。

勿論、
こどもを抱きしめる程度では感染しませんし、
尿や唾液に触れても
石鹸と流水でウイルスをしっかり洗い流せば問題はありません。

明日、明後日は寒波が襲来し、
熊本は雪マークがでています。
私は身体の中からの寒さ対策の1つとして、
紅茶に生姜の蜂蜜漬を入れて飲んでいます。
(毎年恒例のしもやけは既に完成していますが)

皆様も何か温かい飲み物・お食事をとって、
身体を温めてこの大寒の時期を乗り越えましょう。