考察

おたふくかぜあるいは水痘で
8215人/3年間が
24時間以上入院した。
(H21年2271人、H22年3260人、H23年2684人)

H16年の1年間の調査において、
2つの疾患で
24時間以上入院した重症例2536人。
今回とほぼ同様の数値。
ワクチンが定期接種化されていないので、
状況は変わっていない。

おたふくかぜによる
重篤後遺症は難聴が多い。
小児(全体の約7割)だけでなく、
成人(全体の約3割)にも
発症することが判明した。

先進国での後天性難聴の
最大の原因はおたふくかぜで、
最近の検討では感染患児の約0.1%に
聴力低下を発症することが判明した。
おたふくかぜによる
死亡や永続的神経後遺症は、
ワクチンを接種していれば
防ぎ得たと考える。

水痘では5名が脳障害をおこし、
いずれも重篤な後遺症を残した。
全員ワクチンは接種していない。
水痘に有効な薬はあるが、
重篤な後遺症例や死亡例を
完全に防ぐことはできない。
死亡例と永続的神経後遺症例は、
ワクチンで予防すべきであったと考える。

今回の調査で、
2つの疾患により
小児や成人に
様々な重篤な合併症を
来たすことが判明した。

2つのワクチンによる
重篤な副反応は認められず、
ワクチン接種率が向上すれば、
年間2500人を超す入院と
年間30人を超す
重篤な後遺症・死亡の発生を
予防することが可能と考えられる。